優しい光に包まれる夜明かし祭「燈籠祭」
大宮神社例祭「燈籠祭」は毎年8月16日に神事が斎行され、関連する行事は8月15日、16日の2日間に渡り催されます。燈籠祭の由緒は古く、景行天皇の筑紫御巡幸にまで遡ります。今から約2000年前、景行天皇は、現在の玉名地方から阿蘇地方へ向かう際、菊池川を下流より遡られ、山鹿の火の口(現在の地名は宗方)に着岸されました。その折、一面に濃霧が立ちこめ進路を阻んだため、里人がたいまつをかかげて御一行をお迎えし、杉山(現在の社地)へお導きしました。 天皇はここに行宮(仮の御所)を営ませられたといいます。その時の奉迎のたいまつの火が山鹿燈籠の起源と伝えられています。
その後、行宮跡に天皇を祀り献灯の儀を行っていましたが、鹿郡旧語伝記によれば、約600年前の室町時代応永年中に「菊池氏は祭礼の式法を改め、いろいろの燈籠を張り民に捧げさする」とあります。
また約300年前の江戸期宝永正徳年中には「燈籠の細工いや増しに宜しくなり、その名四方に高し」との記録もあります。しだいに燈籠の種類も多くなり、現在のような精巧なものが作られるようになりました。
現在では、16日午前10時より熊本県神社庁から献弊使をお迎えし、関係者参列のもと「献弊祭」が執り行われ、午後10時、燈籠を奉納する神事「上がり燈籠」、午後12時、奉納した燈籠を燈籠殿に納める「下がり燈籠」が斎行されます。その他にも、燈籠祭に向け4月下旬には奉納する山鹿燈籠の制作開始にあたり無事制作出来ることを祈る「燈籠制作開始祭」を執り行います。
また、燈籠踊り保存会による奉納踊りや千人灯籠踊り、花火大会や松明行列など8月15日、16日の2日間の山鹿の町は燈籠一色になり賑わいを見せます。